顎関節がカクカク言う・・・痛い!|三重県松阪市の歯医者「医療法人もみの木歯科」

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顎関節がカクカク言う・・・痛い!

医療法人もみの木歯科 院長 村田幸一朗 監修


顎がポキポキ鳴るんですが?」

「顎がジャリジャリカクカク言う」

「口を開けると顎が痛い・・・」

「口が大きく開かない。」

。。。というお悩みをよく聞きますが、これらは顎関節症の代表的な症状です。

以前は比較的に若い女性に

多いと言われていましたが、

最近では年齢・性別関係なく

顎関節症の患者さんが増加傾向にあるようです。

 

では、顎関節症について、詳しくみていきましょう。

 

まず顎関節症は4タイプにわけて説明していきます。


①筋肉の痛みタイプ

「咀嚼筋痛障害」

顎を動かす筋肉や頬の緊張、

こりによる痛み(炎症)

②関節内部の痛みタイプ

「顎関節痛障害」

顎関節の内部を傷めた痛み(炎症)

③クッションのズレタイプ

「復位性顎関節円板障害」

骨と骨の間の関節円板がずれる

④骨の変形タイプ

「変形性顎関節症」

顎関節の骨が変形する


 

① 筋肉痛タイプは、

関節自体には問題はなく、

お顔周りの側頭筋や

特に咬筋に痛みが出ることで

起きます。

症状的には:筋肉痛なので、

我慢すれば口を開けられない

ことはないが、開ける時に

痛みが出ます。

咬筋の痛みは、

頬の重だるい感じや、

腫れぼったい感じや

お顔のゆがみにも、、。

側頭筋の痛みなら、

片頭痛のような痛みがある。

 

側頭筋はこめかみ当たりを

押さえると痛みがあるので、

押さえてみて確認しよう!

筋肉の緊張や、こっている

感じがあれば、人差し指と

中指で500円玉くらいの

円を描くように、くるくると

マッサージをして筋肉が

和らぐか触ってみよう!

★改善策:マッサージや、口を開けるストレッチなどお家でできるケア

慢性的なこりは、なかなか

治りにくいので、早期対応

した方が良いです。


 

②関節内部の痛みタイプ

症状的には:口を開けた時に

痛みが出ますが、

我慢したら口を開けられる。

関節内部を傷めた炎症とは、

間接包という部分の内側に

ある滑膜が炎症を起こした

状態で、

炎症の程度にもよりますが、

関節に負担になればなるほど、

痛みが出やすくなりますし、

休ませてあげると痛くない。

このタイプは、無理な力が

かかって傷めてしまった

ねんざをイメージすると

わかりやすいかも?

耳の手前のつけねあたりが

痛いので触ってみよう!

左右同時に起きることは少ない!

★改善策:悪化すると滑膜の

潤滑油(ヒアルロン酸)の

滑りが悪くなるので、

関節が硬くなり

口が開けずらくなります。

その前に、

飲み薬で炎症を押さえたり、

痛みが落ち着いてきたら、

じょじょに口開けストレッチ

をしていきましょう。

こちらも、早い対応の方が

治りやすく、ひどいと顎が

かたまってしまいます。


 

③クッションのずれタイプ

骨と骨の間にあるクッション

の役割を持つ、関節円板の

位置がずれることで起こる。

クッションのずれタイプは、

2タイプにわかれます。

 1.口をあけると音が鳴る「ポキッ・カクッ」タイプ

 2.口を開けようにも、

ひっかかって開かない・痛い

「引っかかり」タイプ

正常なクッション(関節円板)は、口を閉じた時に、

下顎頭の上にクッションが

ちゃんとあり、

下顎が前後に動くのに合わせ

下顎頭と共に、

一緒にすべって移動します。

 

1.音が鳴る場合

 

口を閉じている時に、

すでに関節円板が下顎頭の

上から少し前にずれていて、

下顎が前に動こうとする時、

スムーズな開閉を邪魔します

従って、無理やりその狭い

隙間に下顎が入り込む時、

ポキッカクッ鳴るのです。

クリック音とも言います。

 

2.引っかかりタイプ

1.と2.のどちらも、関節の中で

無理がかかると痛みが出ますが、

関節円板がずれていても、

痛みが出ない場合もあります。

音が鳴るタイプと同じで、

口を閉じている時に、

関節円板が下顎頭の上になく、

すでにずれています。

下顎が前に動こうとする時、

関節円板が下顎頭の上に戻れず、

詰まってしまってこれ以上、

口を開けようとしても

動きません。

 

鏡で口の開き方を見てみよう!開き方が左右均等に開かない、左右どちらかにゆがんで開くという人は、

関節円板が引っかかっているかもしれません。引っかかっている方に下顎がゆがみます。

★改善策:痛みがあれば薬などで痛みを和らげてから、

ストレッチなど口が開くよう

にしていきます。

関節円板のずれを治すのは、

かえって悪化することもある

口を開けられるようにする

ことが改善の目的となります

1.の音がなる「ポキッカクッ」タイプなら、

痛みもなく気になる程度なら

経過観察で治療の必要がない

場合があります。

2.の「引っかかり」タイプは、

顎関節の内部の変化で、

骨の変形タイプに移行する場合があり、要診察です。

★ずれが起きて

2週間以内であれば、

下顎を前に引っ張り、

引っかかりをとれる場合があります。

安全に行うために、必ず歯科医院で、簡易顎牽引法を試してもらってください。

簡易アゴ牽引法とは

人差し指を下顎の前歯の裏に

あて、親指を上顎の前歯の

前に置き、下顎を前に引っ張って牽引します。


④骨の変形タイプ

顎関節を構成する骨の変形に

よっておきるタイプで中高年

の方に多いです。

症状:口を開けようとすると痛みがある。

引っかかるような感じ。

顎の関節からザラザラとこすれる音がする。

顎関節の間には、

関節円板や軟骨がありますが

関節円板がずれたり、

加齢によって、

軟膏が薄くなったりすると、

骨通しがこすれ合い、

骨の変形へと進みます。

軟骨は女性ホルモンに影響を

受けますので、

軟骨が薄くなる中高年の方に

よくみられます。

★改善策:クッションのずれタイプを長期間放置しないことと、薬や注射治療、口開けストレッチなどをします。

経過観察も大切です。


様々なタイプと症状がありましたが、

その中でも治療が必要な方は、

お薬を処方してもらったり、注射や内視鏡など専門的治療を行ったり、

負担軽減のためのマウスピースを作ったりします。

またお家でのケアとして、

予防や改善のためのマッサージやストレッチなど行ったり、生活習慣(楽器や姿勢など)の見直しなどをします。

症状が軽度で、症状を和らげることができる時期に、

早めに相談をされると安心ですので、何か少しでも気になることがあれば、歯科医院で相談してみてください。

参考文献:

nico 2020年6月号

クインテッセンス出版 歯学雑誌より

 

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